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2016年12月11日

山里に秘められた様々な謎とは?「とっかわ歴史ミステリーバスツアー」開催


平成28年12月4日(日)、岡崎市ホタル学校主催で「とっかわ歴史ミステリーバスツアー」を実施しました。ホタルの里として知られる鳥川町は今のように道路が整備されるまでは他の集落から切り離された地理的環境にありました。そのためか鳥川には他地域とは異なる独特な史跡・文化財が残されています。このツアーではそうした歴史の足跡をたどりながら山里の文化を学びます。


ガイドは鳥川ホタル保存会アドバイザーの竹内謙作さん。現在は豊富小学校の先生ですが、以前はホタル学校の前身である鳥川小学校に6年間勤めていたため鳥川の自然や文化に精通しています。それではバスツアーで巡った中から一部をご紹介しましょう。


こちらは「瀬長の猪垣」です。江戸時代、獣害から田畑を守るために作られた石垣で鳥川町内にはのべ2km(!)ほど残っていますが、この場所のものは特に状態が良いです。特徴は「猪返し」と呼ばれる上部が反った構造。数百年経っても崩れない石垣を誰がどうやって作ったのか、記録も残っておらず謎です。


「馬の渡らん沢」は民話として伝わるミステリースポット。昔はこの山の中に沢を渡る道路がありました。しかし馬を連れた人が沢を渡ろうとしたところ、抵抗してどうしても渡ろうとしない。10mほど下流に行くとそちらのほうが沢の幅は広いのにすんなり渡ったそうです。この「馬の渡らん沢」のすぐ横には武将のものと思われる墓が残っており、それが関係しているのでしょうか・・・?


「西国三十三所観音」は鳥川の高台にあるお寺・慈徳院(じとくいん)に向かう坂にずらりとならんだ観音像です。江戸時代に観音巡礼信仰が広まりましたが、鳥川からあちこちの霊場を巡るのは大変なこと。そこで各地の本尊の石像を並べて参拝し、巡礼の代わりとしたというものです。過去の話かと思いきや、各観音像に新しいシキミの葉が供えられていました。今でも誰かがきちんとお参りをしているのですね。


※サービスカットは「慈徳院」の大イチョウ

散った黄色い葉っぱが地面を覆い尽くし、「黄色の絨毯」のようできれいです!


さて、慈徳院から山奥に入ること数分。周囲には何もない森の中に「御嶽講霊神供養塔」が現れました(写真中央の石碑)。御嶽信仰は鳥川周辺でも人気があったようで、その先達(ガイド)を勤めた方の霊を祀るために建てられたと考えられています。すぐ近くには観音様や不動様の像もありますが、なぜこんな誰も来ない山奥に設置したのか、ミステリーです。


※拡大写真がこちら


最後に立ち寄ったのは「双体道祖神」(そうたいどうそしん)です。この像の前が昔の主要道路だったことから、道行く人の安全を祈って建てられたのでしょう。しかし男女ペアの道祖神は珍しく、信州では見られますが、なぜそれが鳥川にあるのか?昔、この地域で心中した男女がいてその供養のために建てられたという説もあるそうですが、真相は謎のままです。


この写真は番外編。移動中の一コマですが、あることに気づくでしょうか?歩道の落ち葉を誰かがほうきで丁寧に掃除していたのです。誰かに言われたわけでもないのに自分から地域のために奉仕する行動に一同感動!このツアーで見てきた様々な信仰は家族や地域の安全と発展を願う心の現われでしょう。そうした地域を大切に思う心は時代を超えて今も鳥川の住民に受け継がれているのだなとしみじみ感じました。


丁寧なガイドをしてくださった竹内先生、ご参加くださった皆様、誠にありがとうございました!今回ご案内した石仏等はまだまだ一部です。石仏巡りのマップもございますので、関心のある方はぜひホタル学校にお立ち寄りください。


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撮影日  平成28年12月4日(日)
撮影場所 鳥川ホタルの里(鳥川町)
投稿者  からさわ


ふたば 自然との共生を「ホタル」を通して考えましょう! ふたば
HP:http://www.morinoeki.jp/hotaru_gakkou/index.html  


Posted by 岡崎市環境部環境政策課 at 17:08鳥川ホタルの里(ホタル学校)