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2014年06月18日

ゲンジボタルはどこで産卵する?(ホタルサポーター活動)

ゲンジボタルはどこで産卵する?(ホタルサポーター活動)
毎月1回、ホタル学校で「ホタルサポーター活動」を実施しています。
ホタル生息地の保護・拡大を目指した人材育成事業の一つで、
全国ホタル研究会顧問・ホタル学校名誉校長の古田先生が講師を務めています。

平成26年6月10日(火)、この日の活動は夜7時からスタートしました。
ちょうどゲンジボタルの舞が見られるこの時期に、ベールに包まれた
ホタルの「産卵」について学習し、暗くなったら実際の産卵場所に移動して
産卵を観察しようと試みました。

ゲンジボタルはどこで産卵する?(ホタルサポーター活動)
日本に生息しているゲンジボタルは、東西でその生態が少し違います。
光の明滅間隔もそうですが、産卵の仕方も異なります。
東日本のゲンジボタルのメスは個々に産卵場所が違いますが、
西日本のゲンジボタルは集団産卵といって、30~40頭が
一か所に集まって産卵します。その理由は未だに解明されていません。

産卵場所は、上の写真のように川の渕の土がえぐれた所に生えたコケの中です。
その上部は樹木などで適度に覆われ、コケが乾燥するのを防いでくれます。

ゲンジボタルはどこで産卵する?(ホタルサポーター活動)
矢印のような所の垂直、もしくはえぐれた部分の天井のコケの中に
たくさんの卵を産み付けます。(もちろんコケは常に湿っています)

※1頭のメスは500~1000個ほどの卵を産みます。

ゲンジボタルはどこで産卵する?(ホタルサポーター活動)
生きたコケがあり、西日が当たらない場所(朝日は大丈夫!)で、
水面からの高さは最低でも10cm、最高では2mの所に産み付けます。

これは川の増水時に卵が流されないようにするためのものと考えられ、
一説には増水を予知する能力があるのでは!?とも言われていますが、
これもまたゲンジボタルの神秘的な生態の一つと言えます。

ゲンジボタルはどこで産卵する?(ホタルサポーター活動)
私は鳥川で初めて産卵に適したコケの場所を観察しましたが、
確かにここならじきに交尾を終えたメスが飛来して卵を産んでくれるのでは!と思いました。
(古田先生いわく「おそらく産卵は6月15日以降になるのでは」との予想)

古田先生が昭和41年から調査し記録した男川・乙川流域における
産卵位置(高さ)と洪水(増水)があった年を比較してみると、
確かに増水した年の産卵位置は70cm~120cmと大変高く、
何かしらの察知能力が備わっているか、遺伝的な情報が蓄積されて
産卵位置を明確に変えているのではないか?と考えられます。
こういった部分の研究調査も、ホタルの生態を探る一つの要素と言えます。

ゲンジボタルはどこで産卵する?(ホタルサポーター活動)
上の写真が集団産卵の様子です。
メス同士は互いに争うこともなく、的確にコケの中に卵を産み付けます。
そして孵化(ふか)した直後に幼虫が川に入って(落ちて)生活ができるようになっています。

鳥川ホタルの里は、昨年9月の台風により川が氾濫しましたが、
それでも今年、たくさんのホタルが発生し、私たちを楽しませてくれています。
濁流と化した川底でどのように避難しているのかも謎ですが、
ある程度、自然の変化に対応する術を持っていることは明らかです。

ホタルの保護、また、生息地拡大の鍵の一つが「産卵場所」の確保です。
そういった自然が形成され、ホタルが安心してすめる場所作りが、
ひいては人間が安心・平穏に住むことができる
環境作りの一つではないかと思います。

水質・川底・エサ(カワニナ)・飛翔空間・周辺樹木などに加え、
産卵場所もゲンジボタル生息に欠かせない重要な要素です。
これからもこれらの必要要素を調査しながら、
よりよい環境の保全に努めていきたいと思います。



撮影日  平成26年6月10日(火)
撮影場所 ホタル学校(鳥川町)にて
投稿者  やまのうち


ふたば 自然との共生を「ホタル」を通して考えましょう! ふたば
HP:http://www.morinoeki.jp/hotaru_gakkou/index.html



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Posted by 岡崎市環境部環境政策課 at 23:21 │鳥川ホタルの里(ホタル学校)

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