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2015年12月10日

ホタルの保全活動を学ぼう!「ホタル生息地バスツアー」を開催

ホタルの保全活動を学ぼう!「ホタル生息地バスツアー」を開催
平成27年11月29日(日)、に愛知県内でホタルの保全活動に取り組む
地域を訪れて学ぶ「ホタルの生息地バスツアー」を実施しました。

※ホタルサポーター活動の一環

バスツアー企画は毎年人気で、今年も20名の方がご参加くださいました。

ホタルの保全活動を学ぼう!「ホタル生息地バスツアー」を開催
講師は岡崎市ホタル学校名誉校長の古田忠久先生です。
ホタルの生態や養殖技術、愛知県内外のホタル保全の取り組みに精通
しており、今回のツアー企画に際しても訪問先をご紹介いただきました。

ホタルの保全活動を学ぼう!「ホタル生息地バスツアー」を開催
市役所を出発したバスがまず向かったのは岡崎市小呂町を流れる
小呂川(おろがわ)です。こちらの川はホタル学校で開催している
ホタルマスターファミリー講座に参加している三浦健太郎君(附属中1年)が
3年間に渡ってホタルの発生状況や周辺の環境について調査・研究を
行っている場所です。まず健太郎君に今までの調査結果やホタル保全に
向けた課題について説明をしてもらいました。(隣りは補助役のお母さん)

ホタルの保全活動を学ぼう!「ホタル生息地バスツアー」を開催
小呂川はゲンジボタルが飛翔していますが、河川改修工事が行われて以降、
その数は減ってきているそうです。ゲンジボタルの幼虫のエサとなる
「カワニナ」はとても多い一方で、幼虫の棲み家となる川底の石が少ないこと、
また街の光が当たりやすく成虫にとって飛翔しにくい環境になっている

といった課題があります。

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古田先生によれば田んぼを中干しした際の土砂が川に入り込み、
石が埋まってしまうことがホタルにとって悪影響
になっているとのこと。
確かにカワニナはたくさんいますが、鳥川のように川底に石が
ごろごろしている状態ではありません。

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そして今年の三浦君の研究で明らかになったのがLED街灯による影響です。
以前は蛍光灯だった街灯が順次省エネで長持ちするLEDに切り替わっている
そうですが、当然ながら光が以前よりもずっと強いためLEDの光が当たる
範囲ではホタルは飛翔せず、繁殖の妨げになっていることが分かりました。

もちろん街灯は人の生活には欠かせませんが、ホタルが飛翔する時期だけでも
消灯できるとホタルは安心して繁殖することができるのでは!と思います。

ホタルの保全活動を学ぼう!「ホタル生息地バスツアー」を開催
(写真中央:ゲンジボタルの幼虫)

様々な課題はありますが、三浦君は古田先生にアドバイスを仰ぎながら
さらに小呂川のホタルの保全に取り組んでいきたいと意気込んでいます。

これから先、小呂川の環境やホタルの数がどう変化していくのか注目です☆

ホタルの保全活動を学ぼう!「ホタル生息地バスツアー」を開催
さて、次にバスが向かったのは豊田市鴛鴨町(おしかもちょう)です。
こちらでは「おしかもほたるの会」の皆さんが出迎えてくれました。

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会長の服部様よりこれまでの経緯や活動の概要についてご説明いただきました。

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こちらでは最初からホタルの保全活動をしていたわけではなく、もともとは
地域住民で荒れた竹林の整備を行っていたそうです。すると整備した場所から
水が湧きだして沢になっているのを見つけました。

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今、ホタルはいなくなってしまいましたが、昔はこの場所でもホタルが飛んでおり、
何とか復活できないかと今年から会を立ち上げて活動を始めたそうです。

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竹を伐った後の場所はビオトープとして整備しており、横を流れる農業用
水路からカワニナがたくさん登ってきていました。古田先生の指導のもと、
写真のように野菜くずを沢に入れてカワニナのエサにしています。

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芯だけの白菜はカワニナに食べられたものです。食欲旺盛ですね!

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竹林は農道沿いに何百メートルも続いており、今後も継続して整備を
進めつつ、ホタルが戻って来ることのできる環境づくりに取り組んでいきたいと
はりきっておられました。古田先生からは沢の周りに木や草を増やし、
川底の条件を整えてから幼虫を少しずつ放流していけばきっと増えていくだろう

とのアドバイスでした。アクセスもよく観察にはとても適した場所なので、
近い将来ホタルの舞う名所として多くの人が訪れるようになっていくことでしょう☆

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最後におしかもほたるの会の皆様から「焼き芋」が振る舞われました。
竹林整備して出てきた竹や木を燃やす場所があり、この日は朝から火をつけて
焼き芋を準備してくれていたそうです。お心遣いありがとうございました!

ホタルの保全活動を学ぼう!「ホタル生息地バスツアー」を開催
移動の時間を活用して、車内で古田先生にホタル保護・再生に関する
講義を聴きます。配布されたプリントにはホタル保護活動のポイントが満載です。

しかし、ところ変われば河川環境も違うため、その土地の環境をよく調べた上で
その土地に合った保護・保全活動を進めていかなければいけません。

ホタルの保全活動を学ぼう!「ホタル生息地バスツアー」を開催
上郷サービスエリアでの昼食休憩を挟み、バスは一路「碧南市」へ向かいます。
続いては油ヶ淵遊園地でヘイケボタルの保全に取り組む「フッチーほたるの会」
を訪れました。

ホタルの保全活動を学ぼう!「ホタル生息地バスツアー」を開催
この日は副会長の榊原様にご対応いただきました。フッチーほたるの会は
平成11年から女性会員が中心に活動しているグループです。

公園内に設置された「ほたる舎」の中へ毎年5月にヘイケボタルの幼虫を放流
しており、6月の飛翔シーズンには多くの方が訪れ憩いの場となっているそうです。

ホタルの保全活動を学ぼう!「ホタル生息地バスツアー」を開催
ほたる舎の中には井戸水が引かれ、木や草も生えており自然の水辺に近い
環境になっています。もともと碧南市でもホタルは見られたのですが
宅地化や農地環境の変化が進むことで激減してしまいました。

それでもホタルの光を伝えていくためにこうした施設を建て、会員が
自宅でヘイケボタルを人工飼育して毎年放流しているそうです。

ホタルの保全活動を学ぼう!「ホタル生息地バスツアー」を開催
(目の前に広がる「油ヶ淵池」

始めのうちは養殖も上手くいかなかったそうですが、試行錯誤を続ける中で
うまく育てることができるようになったそうです。しかし、自宅での養殖
に加えて、ホタルシーズン中のほたる舎での夜間対応、隣の油ヶ淵の草刈りなど
大変労力がかかる活動を長年継続してきたことに頭が下がります。

また、メンバーの高齢化が進んでおり、今後どうやって活動を継続していくのかが
大きな課題になっているそうです。


以上で「ホタル生息地バスツアー」は終了です。


減少しつつあるホタルの保全が求められる小呂川、一度はいなくなって
しまったホタルをもう一度復活させようという「おしかもほたるの会」、
そして人工飼育でホタルの光を受け継いでいく「フッチーほたるの会」。


3つの対照的な活動を一度に視察することが出来、
大変学びの多いツアーとなりました。


一生懸命活動に取り組む方のお話を伺い、ホタルの保全は6月のシーズン
だけではなく、一年を通して続く地道な活動の上に成り立つものだと
いうことを改めて気づかされました。

一つの地域、一つの団体だけでは壁に当たることもあるかと思いますが、
こうしたツアーを通じて横のつながりが出来ることで交流が進み、
さらにホタルの保全意識が広まっていくのではないかと期待しています。

ご参加くださった皆様、そしてお忙しいときにもかかわらず
丁寧にご対応くださった各会の皆様、本当にありがとうございました!


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撮影日  平成27年11月29日(日)
撮影場所 小呂川(岡崎市小呂町)、豊田市、碧南市
投稿者  からさわ

※写真の一部は「おしかもほたるの会」様よりご提供いただきました。


ふたば 自然との共生を「ホタル」を通して考えましょう! ふたば
HP:http://www.morinoeki.jp/hotaru_gakkou/index.html



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Posted by 岡崎市環境部環境政策課 at 15:34 │鳥川ホタルの里(ホタル学校)

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