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2015年12月16日

ホタルの里の謎に迫る!「とっかわ歴史ミステリーバスツアー」を開催

ホタルの里の謎に迫る!「とっかわ歴史ミステリーバスツアー」を開催
平成27年12月13日(日)、岡崎市ホタル学校で
「とっかわ歴史ミステリーバスツアー」を開催しました。
ホタルの里として知られる岡崎市鳥川町には、歴史ある伝承や謎に包まれた
文化財が数多く残っています。このツアーではそうした史跡を巡りながら
ホタルの里に秘められた謎を解き明かしていきます。

※朝は小雨でしたが徐々に回復し、絶好のツアー日和となりました☆

ホタルの里の謎に迫る!「とっかわ歴史ミステリーバスツアー」を開催
ガイドは鳥川ホタル保存会アドバイザーの竹内謙作さんです。
ホタル学校の前身である鳥川小学校で6年間教諭を務められ、鳥川の自然や文化
に精通しています。よろしくお願いします!(現在は豊富小学校に在職)

ホタルの里の謎に迫る!「とっかわ歴史ミステリーバスツアー」を開催
バスが最初に向かったのは「瀬長の猪垣」(せながのししがき)です。
昔の人が田畑を猪から守るために石を積み上げて作られた猪垣は鳥川の
あちこちにあり、中でもこの瀬長という場所のものは状態がよく、
「猪返し」という反りがついているのが特徴です。

コンクリートもない江戸時代に作られたものが台風や地震に遭いながらも
今まで残っているのはまさにミステリー。きっと凄腕の職人がいたのでしょう。

ホタルの里の謎に迫る!「とっかわ歴史ミステリーバスツアー」を開催
猪垣のすぐ横にあるのが「加茂式黒炭窯」(かもしきくろすみがま)です。
戦後、鳥川の人が東加茂郡の炭焼き職人に教わった方式で、炭を出し入れする
口と火をたく口が別になっているのが特徴です。加茂式のルーツは福井県にある
ようで、遠く離れた文化が人づてだけで鳥川まで伝わっているのは不思議ですね。

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次のポイントに向かう途中、道端に「馬頭観音」(ばとうかんのん)を見つけました。
昔は農耕や運搬のために貴重な労働力だった牛や馬。そうした家畜が死んだ場合の
供養や安全祈願として建てられた馬頭観音は鳥川のあちこちで見られます。

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道路から少し入った林の中を下りていくと「宝篋印塔」(ほうきょういんとう)
を発見しました。宝篋印塔は武将などの身分の高い人の墓ではないかと
考えられていますが、かなり風化が進んでおり文字も残っていないため、
はっきりしたことは分かっていません。おそらくは鳥川と縁のある
奥平家の墓ではないかと考えられています。

ホタルの里の謎に迫る!「とっかわ歴史ミステリーバスツアー」を開催
この宝篋印塔の横の沢には「馬の渡らん沢」という民話が残っています。
昔、軍馬がこの沢を渡ろうとしたところ、大した沢でもないのにどうしても
渡ろうとせず、少し下った所まで連れて行ったら難なく渡れたそうです。
この宝篋印塔のせいではないか?というミステリー話です。

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次に訪れたのは「役行者」(えんのぎょうじゃ)と「庚申様」(こうしんさま)です。
もともと別の場所にありましたが、新東名の工事の関係で今の場所に移されました。
役行者は奈良時代の修験道の開祖として知られる人ですが、なぜこの鳥川で
祀られているのかは不明です。奥三河の花祭りも修験者が伝えたと言われている
ので、鳥川も修験者の修行の場だったのかもしれません。

ホタルの里の謎に迫る!「とっかわ歴史ミステリーバスツアー」を開催
隣の庚申塔は庚申信仰に基づいたものです。2か月に1回巡ってくる庚申の日に
夜寝ると体の中から三尸の虫が出て、天にその人の悪行を伝えると信じられており、
その日は三尸の虫が出ていかないようにみんなで集って寝ずに過ごしたそうです。
こうした風習は誰かの家に集まってお茶を飲む程度に簡略化されてはいますが、
今でも続いています。

ホタルの里の謎に迫る!「とっかわ歴史ミステリーバスツアー」を開催
続いては「トヨトミ梨」を訪れました。トヨトミ梨は野生の梨の品種で、
自生しているものは世界にこの1本しかないという貴重な木です。
昔、伊勢湾台風で折れてしまいましたが残った枝から復活し、そして
平成21年にも台風で倒れてしまいましたが再び奇跡の復活を果たしたという
エピソードがあります。

秋にはピンポン玉くらいの実をたくさん付けますが、固くて渋いので食べる人も
おらず、そのまま土の上に落ちて放置されています。それなのに周りから
新しい芽は少しも出ていません。他の場所に持って行って植えると
芽が出るのに・・・自然界のミステリーです。

ホタルの里の謎に迫る!「とっかわ歴史ミステリーバスツアー」を開催
続いて向かうのは鳥川のお寺「慈徳院」(じとくいん)。お寺へ向かう坂沿いに
並んでいるのが「西国三十三カ所観音」です。江戸時代、岐阜から近畿に
かけて点在する33か所の観音菩薩を巡礼参拝すると極楽往生できるという
信仰が流行しました。しかし鳥川の人にとってすべてを巡るのは大変なことです。
そこで各霊場の本尊の石像をここで祀って、それを参拝することにより
実際に巡礼したことにしたのです。

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慈徳院の名物は「大イチョウ」です。根元は大人でも抱えきれないほどの太さです。
葉はもう散ってしまいましたが、地面一面に黄色いじゅうたんが広がっていました。
長い間、ここで鳥川の村や人々の暮らしの変化を見守ってきたのでしょうね。

ホタルの里の謎に迫る!「とっかわ歴史ミステリーバスツアー」を開催
慈徳院から裏の山に入り歩くこと5分、周りに何もない森の中に突然石碑が
現れました。「御嶽講霊神供養塔」(おんたけこうれいじんくようとう)です。
かつては霊山である御嶽山にたびたび参拝登山する信仰があり、講祖や先達の
霊を祀るためにこうした碑が各地に建てられました。

この碑は明治時代に建てられたようですが「御嶽山登山八十度」と刻まれています。
バスも電車も無い時代に一体どんな思いで80回も登ったのでしょうか?
想像もできません。

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山から下りてくる途中に「駒ケ岳さん」(左)と「秋葉さん」(右)がありました。
駒ケ岳さんは養蚕の神様、秋葉さんは防火の神様です。農山村の貴重な収入源
であった養蚕の発展を祈り、また一方で風の強い鳥川では命取りだった火事を
何とか防ぎたいという先人たちの願いが今もこうした形で残っています。

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次は環境省の「平成の名水百選」にも選ばれた「鳥川ホタルの里の湧水群」の一つ
「庚申(こうしん)の水」に立ち寄りました。この水の横にも庚申様が祀られて
いますが、先ほどの庚申塔と違い、こちらは庚申信仰の本尊である青面金剛
(しょうめんこんごう)が餓鬼を踏みつけている様子が彫られた石像です。

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少し歩くと道路わきに「うめさん・つやさん巡礼供養塔」がありました。
「百八十八番観世音」と彫られています。江戸時代にうめさん・つやさんという
女性2人が、西国三十三か所に加えて秩父三十四か所、坂東三十三か所、
四国八十八か所を参拝し、それが成就した証として建てられたものです。
御嶽登頂80回もすごいですが徒歩で188か所を巡ったというのも驚きです。

ホタルの里の謎に迫る!「とっかわ歴史ミステリーバスツアー」を開催
巡礼供養塔の裏を登ると小高い丘になっています。ここは「鳥川城址」
呼ばれています。かつてはここにお城(といっても砦のようなもの)があって、
奥平次郎左衛門という武将が住んでいましたが、長篠の合戦の際に戦死してしまった
と考えられています。

ホタルの里の謎に迫る!「とっかわ歴史ミステリーバスツアー」を開催
片隅に宝篋印塔や五輪石がひっそりと並べられているだけで、
今では城があった様子は見る影もありません。

ホタルの里の謎に迫る!「とっかわ歴史ミステリーバスツアー」を開催
最後に訪れたのは「双体道祖神」(そうたいどうそじん)です。旅人の安全を
祈ったという道祖神ですが、この像では男女が並んでいます。
「人生もまた旅である」という考えから、子宝や安産などの意味も込められている
そうです。長野県に多い道祖神ですが、鳥川にはこの一体しかなく、
いつ?だれが?建てたものなのかは謎のままです。


鳥川町内だけでこんなに多くの文化財があるのにはとても驚かされました。

道端の小さな石仏にも一つ一つにエピソードがあり、かつて誰かが祈りを込めて
作ったものだということを思うと、今ほど便利でない時代に厳しい自然と
向き合いながら必死に生きてきた農民たちの苦労が偲ばれます。



ガイドの竹内さん、ご参加くださった皆様、ありがとうございました。
鳥川にはまだまだ今回紹介しきれなかった文化財がたくさんあります。
ぜひまたお越しください。


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撮影日  平成27年12月13日(日)
撮影場所 鳥川ホタルの里(鳥川町)
投稿者  からさわ


ふたば 自然との共生を「ホタル」を通して考えましょう! ふたば
HP:http://www.morinoeki.jp/hotaru_gakkou/index.html



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Posted by 岡崎市環境部環境政策課 at 09:40 │鳥川ホタルの里(ホタル学校)

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