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2015年11月12日

歴史から環境の変化を探る!豊富小学校6年生がホタル学校に来校


平成27年11月6日(金)、豊富小学校6年生48名がホタル学校の
環境教室に参加しました。今回参加した皆さんは3・4年生の時にも
環境教室に参加しており、これで3回目となります。


6年生では1年をかけて地域の歴史や文化について学んでいるそうですが、
鳥川ホタルの里にも様々な石仏や文化的に貴重なものがたくさん残っています。

前半は鳥川を歩きながらそうした歴史・文化遺産を調べて、人々の生活がどのように
移り変わってきたのか、そしてその変化が自然環境に与えた影響を学びます。



まず目についたのは道沿いに植えられた「アジサイ」です。
ホタルの成虫はオスとメスが互いに光ることでコミュニケーションをとっていますが、
そこに人工の光が当たると会話が出来なくなり繁殖の妨げになってしまいます。

昔の提灯(ちょうちん)の灯りくらいなら問題はなかったのですが、自動車ができて
川沿いを走るようになったことでヘッドライトの光が川に当たってしまうようになりました。
そこで鳥川では車道沿いにアジサイを植えてホタルに光が当たらないようにしているのです。


さて、続いて見つけたのは湧水の「ふないどの水」です。鳥川はあちこちから
きれいな水が湧きだしていて、環境省の平成の名水百選に「鳥川ホタルの里湧水群」
として認定されています。

長い時間をかけて地下を通ってきた綺麗な湧き水が川に流れ込み、
ホタルを育んでいるのです。ホタルだけでなく、上水道がなかった時代は湧水や井戸水は
生活に無くてはならないものでしたし、現代でもこうした湧水が集まって川となり
下流域の人たちの生活を支えていることに変わりはありません。


ふないどの水のすぐそばに小さな観音様がありました。頭に馬が掘られている
「馬頭観音」です。車もトラクターもない時代、畑や田んぼを耕したり、
物を運んだりするために牛や馬は無くてはならないものでした。
そうした牛馬の安全を祈るため、または死んでしまったときの供養として
こうした馬頭観音を立てたと言われています。

日々ともに暮らす牛馬は家族も同然だったのでしょうね。


さらに進んでいくと変わった屋根が見えてきました。加茂式(かもしき)黒炭窯
です。ガスも石油もなかった時代、毎日の料理やお風呂には薪や炭が
欠かすことが出来ず、鳥川のような農山村にとって「炭」は大切な収入源でした。

しかし時代の変化と共に炭は使われなくなり、鳥川の炭焼きも廃れていきました。
しかし、この炭焼き窯は最近になって地元の方が復活させたものです。
今でも年に1回くらい炭焼きをしているそうです。


炭焼き窯の奥には変わった「石垣」が見えてきました。猪が田畑に入るのを防ぐために
造られた猪垣(ししがき)です。鳥川町内にはあちこちに猪垣が残っており、
中でもこのこの「瀬長の猪垣」は保存状態が良く、しっかり残っています。

最近は金属製のフェンスや電気柵で防いでいますが、そうした便利なものがなかった時代、
一つ一つ重い石を積み上げて田畑を守ろうとした農民の苦労が感じられますね。


ホタル学校へ川沿いの道を戻っていく途中「土手」の様子を観察しました。
ホタルの幼虫は5月頃に川から土手へ上陸してサナギになり、1か月ほど過ごした後に
成虫となって出てきます。しかしこのサナギの状態で土の中に潜っているときに
雑菌のせいで死んでしまうホタルが多いそうです。

実は土手の雑菌は昔より今の方が増えていますが、なぜでしょうか?
ヒントは土手に捨てられている雑草です。昔は雑草を家畜のエサや
堆肥にするために集めていましたが、今はそのまま土手に捨てられてしまい、
土の栄養が多くなり過ぎて雑菌が湧きやすくなってしまったのです。

そこで鳥川ホタル保存会では土手の環境を守るために毎年新鮮な土をまいています。


最後にホタル学校の手前でヒノキの人工林を観察しました。ひょろひょろしていて
中には折れたり曲がったりしているものもあります。間伐が遅れて荒れてしまって
いるのです。海外から木材が輸入されるようになったり、家や燃料として木をあまり
使わなくなったことが原因です。森が荒れると洪水や土砂災害の原因にもなります。

どうすれば再び山を元気にできるでしょうか?みんなで考えていきます。


さて、教室に戻って後半のプログラムです。前半では過去と今の暮らしを比べながら、
生活の変化が環境にも様々な影響を与えてきたことを学びました。
後半では未来のことを考える「みんなのホタル川」という活動に取組ます。


鳥川地域の開発に取り組むことになった6年生の皆さん!鳥川の土地に見立てた
シートの上に家や公園、農園や道路、リゾートホテルなどを配置して設計していきます。
(グループワーク)


便利で魅力的な街にしていきたいところですが、一方で川にはホタルやカエルなどの
生き物もたくさん棲んでいます。どうすれば人と自然が共生する街づくりを実現できる
でしょうか?前半に学んだことを振り返りながらどんな街にすればよいかを議論していきます。


いくつかのグループに完成した計画を発表してもらいました。こちらのはゲームセンターや
マンションの横に背の高いひまわり畑を作り、光が川に当たらないように工夫しました。

さらに間伐材で作ったアスレチックのあるキャンプ場を作ったり、サクラやモミジを植えるなど
ホタルシーズン以外にも鳥川に人が来てくれるように考えてくれました。


こちらのグループは、馬や牛のいる牧場を作って土手の草が活用されるように工夫しました。
さらに川にかける橋を「木造」にすることで人工林の活用も図っています。

岡崎市の「リバーフロント計画」でも乙川に地元の木材を使った橋を造ることになっており、
全く同じ発想なのでとても驚きました!他のグループもとても魅力的な街を考えてくれました。

ぜひ学校に戻ってからお互いにどんな工夫をしたか発表し合ってみてくださいね。


(最後にみんなで記念撮影)



今の私たちが暮らす地域は自然にできあがったのではなく、昔、誰かが「こうしたい!」
と願ったことが実現した結果です。そのおかげで便利になった一方、自然環境に様々な
悪影響を与えてしまいました。そして今度は皆さん自身が街をつくっていく番です。

どうすれば次の世代にかけがえのない自然を残していけるでしょうか?
今日学んだ昔ながらの暮らしの中にそのヒントがきっとあるはずです。

これからも頑張って学習を続けてくださいね!ありがとうございました。


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撮影日  平成27年11月6日(金)
撮影場所 ホタル学校(鳥川町)
投稿者  からさわ


ふたば 自然との共生を「ホタル」を通して考えましょう! ふたば
HP:http://www.morinoeki.jp/hotaru_gakkou/index.html  


Posted by 岡崎市環境部環境政策課 at 10:41鳥川ホタルの里(ホタル学校)